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Selfishly

Selfishly

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(注!!)このお話は、18禁となります。
     暗くて、ロイ鬼畜でエロしかない話になりますので、
     お読みになる方は、それでも構わないと言う方のみ
     お願い致します。
     読まれてからの文句は、なしでお願い致します。
     それでもOKな方のみ、下にスクロールして下さいませ。






























「忘却の時」 2

煌々と灯りの点いた寝室のベットに、エドワードを横たえてから
ロイはゆっくりと深呼吸する。
胸はこれからの時間に想いを馳せて、激しく鼓動を打ち鳴らして、
『早く早く』と急かしてくる。
出来ればその要求のまま、すぐにでも衣服を剥ぎ取り、その肢体の隅々まで眺め回したい・・・が、
ロイは抑えるのに苦労する凶暴な欲望を、宥め叱りして抑え込むと、
何も知らずに安らかに眠るエドワードに手を伸ばしていく。
そして・・・、滑稽な位震えている指先に、自嘲とも詰りともとれる哂いを浮かべて
強く握り締める。

『これは後悔なんて、殊勝なもんではないがな・・・』
ロイの中に僅かにでも残っている良心が躊躇わせてるわけでもなく。
相手を思う優しさでも、罪悪感でも、当然無い。
今のロイには、そんなものは欠片さえ残ってもいはしない。
悔いる事も、許しを請う為に懺悔する事も、決して有りはしないのだ。
何故なら、自分が望んだ状況が今まさに目の前に横たわっているのだから。

ロイの指を震わせているのは、喜びの為であり、愉悦と歓喜の為だ。
ずっとずっと、それは長く飼い殺していた獣の檻を壊したのは、自分ではない。
残酷で悪質な無邪気な愛しい子なのだから。

「あのまま変わらずにいてさえくれれば・・・」
自分たちは良き上司・部下、友人で在り続けれたかも知れない。
そこまで考えて、ロイは小さく頭を振る。
『・・・無理だったろうな・・・』

遠からずどこかで堰は破けていたことだろう。 今回はそれがほんの少し早くなったに過ぎない。
良き部下、良き友として誤魔化すのには、そろそろ限界が来ていたのだ。
だからこそ今回の事で、これ幸いとエドワードを抱く理由をこじつけたのに変わりない。
だから、ロイには後悔など微塵も無い。
そんなモノは、この計画を嬉々として立てていた時から、既にロイの中では消え去っていたのだから。

「エドワード・・・」

寝ている首に腕を回して、少しだけ抱えるようにして持ち上げると、
反対の手の平で、今だ自分の状況を知らずに、幸せそうに眠り込んでいる彼の頬を軽く叩く。
そして、愛しげに撫でる。
数度そんな事を繰り返していると、漸く薄っすらと瞼が開かれていく。
ロイの鼓動は、これ以上ない速さで打ち鳴らされ喜びを伝えている。

霞がかかったように、紗をかけた金色の瞳を息を飲むようにして見惚れる。
いつも強い光を湛えている瞳を好ましく思っていたが、今のようにけぶるように開かれる瞳も、
素晴らしく扇情的で、ロイを煽ってやまないと、今始めて知ることが出来た。
その素晴らしい最初の機会に伝える事は、唯一つしかない。

「愛しているよ、エドワード」
愛しげに、慈しみ溢れた笑みで伝える愛の言葉は、まるで恋愛ドラマの手本のようだ。
そう、ここまでの背景さえ除くならば。
そんなロイからの告白も、薬の所為で朧気なエドワードの反応では、返事はない。
ない、が、別にそれはこの後自分がする事を思えば、強請る事は望過ぎだろう。

ロイはベットの脇にあるチェストの上に置いてあった錠剤を取ると、
エドワードの口元に運び、放り込んだ後に直ぐに深い口付けを始める。
急に息苦しくなったせいか、エドワードの眉間が寄せられるが、それに構う事無く
無抵抗な口内に押し入り、舌で薬を押しやると唾液を流し込んで嚥下させる。
「・・・んん」
苦しそうな表情も、酷くそそられる。
「さぁ、楽しい時間の始まりだ」
そう告げた時に浮かべている笑みは、とてつもなく歪な筈なのに、
どこか清清しさを感じさせ、狂気の先にある突き抜けた笑みだった。

ロイは焦り先を急ぐ気持ちのまま、性急に衣服を剥いでいく。
勿論、その間も深い口付けから、甘噛みからと忙しなく唇を舌を這わせ、
己の欲望を誇示するように、足を絡ませ、腰を密着させ擦り付けている。
綺麗に全てを剥ぎ終わり、邪魔な自分の衣服も捨て置くように脱ぎ捨てると、
漸く深い感嘆ため息を吐き出しながら、エドワードに覆いかぶさる姿勢のまま
願い焦がれた身体を眺めつくす。
決してまっさらな身体ではない。
彼の手足は、悲願を遂げて尚、機械鎧だ。
そして、 到るところに傷跡や、生傷があると言うのに、
その1つ1つさえもが、エドワードを飾り立てているようにしか、
ロイの目には映らなかった。
「ああ・・・、これほど綺麗な身体を汚すなんて・・・」

吐息のように囁かれた言葉。
そして・・・。
「嬉しくて舞い上がってしまう・・な」
と、それは本当に嬉しそうに綺麗に微笑んで告げられた。

そして、ゆっくりと反応を確かめるように手の平を這わせる。
まずは、綺麗な顔(かんばせ)から羽根のように触れていく。
指の腹で撫でるように触れると、小さな吐息が上がる。
「・・ぅん・・」
その反応に破顔し、次はもう少し悪戯に動かしてみる。
耳たぶを弄り、嘗め、噛んでやると、エドワードの吐息が段々と早く大きくなる。
「あっ・・んん  あぁ・・っ」

そんなエドワードの様子を、ロイは目を細めて喜び、
耳朶を弄ぶ唇は離さないまま囁く。
「気持ちいいかい?」
それに素直に何度も頷き返すエドワードに、ロイはご褒美とばかりに
深い口付けを与える。
顎を掴んで、食するように口内を荒らすと、最初は脅えて戸惑いを見せていたエドワードの舌も、
与えられる感覚から快感を拾うのが解ったのか、ロイと同様に舌を動かし巻きつけてくる。
その相手の応えに、ロイは引き千切るのかと思う勢いで、巻きつけ吸い上げて
エドワードを啼かせる。
「・・くっ・・ンン・・フゥ・・ン」

勿論、その間もエドワードの体を確かめるロイの手は追求を緩めてはいない。
すっかりと立ち上がっている小さな突起を執拗に捏ね繰り回しては、強い快感に撥ねる身体を
感じている。

「ここが気に入ったのかい? 君はなかなか素養がいいね」
そう言いながら、少し指先に力を入れて摘んでやる。

「あっああー」
途端に魚のように跳ねる反応を返したエドワードの身体は、既に紅色に染められている。
ロイは何度味わっても飽きること無い口内から、エドワードの舌を引きずり出したまま
咀嚼するように甘噛みしてやる。
二人の唇の端からも、巻き付いている舌からも大量の唾液が行き交い、
伝い落ちてはシーツに染みを広げている。
「ああ・・・全く、これだけ素晴らしいものを、良く我慢できていたものだ・・」
ロイは感嘆の吐息を付きながら、自分の忍耐強さを褒めてやる。

一度口付ければ、次も触れたくなり。
触れれば犯したくなる、蹂躙し尽したくなる。そう何度も、何度も。
ロイの執着を顕すかのように、口付けは執拗で延々と続けられる。
どちらの唇も赤く色付き、それが更に美味しそうで止められなくなるのだ。
『禁断の実のようだな』
触れればその芳しい芳香に酔い痴れ齧り付きたくなる。
齧り付けば、その余りの美味さに芯の髄まで味わいたくなり。
食べつくしてしまえば、知った事で更なる飢餓感で欲してしまう。
延々と続く口付けは、もうキスなどと可愛いものではない。これは既に口内セックスだ。

そして、先に音を上げ、ロイに次を知らせたのは、エドワードの方からだった。
「ね・・ぇ・・・なぁ・・・」
もどかしげに揺らされる腰が、刺激が足りないのだと伝えてくる。
エドワードのそこは既にはちきれんばかりになって、心細げに震えては涙を伝わせている。

「ああ・・・済まないことをしたね、私とした事が。
 でも君が悪いんだよ? 口付けでここまで私を虜にするなんて・・・」

首筋から胸元まで、胸元から下繁まで余す事無く口付けては、嘗め尽くす。
出来れば印を刻んでやりたいが、それが出来ないことが、ロイの執拗さに拍車をかける。

「残念だよ・・・君の綺麗な身体に、私の所有印が残せないなんて・・・」
心底残念そうに告げられる声には、悔しさも滲んでいる。
残したい!
刻みたい!
焼きつけたい! そう魂が唸りを上げては、臍を噛んで歯軋りしている。
何故自分の印を残してはいけないのか?
これは自分が見出して、守り、慈しみ、育ててきたと言うのに!
彼の価値の何十分の1も無いような赤の他人に、何故譲らなくてはならないんだ!!
身体も心も呼応するように叫んでいる。
今にもその怒りが、ロイ自信を食い破りそうな程猛々しく。

もしもロイの中に、彼を本心から愛おしむ気持ちに、ほんの僅かな陰でもあれば、
彼は迷わず、本能の訴えるままに行動していただろう・・・。
が、彼のエドワードを思う気持ちは、紛う方なしに真実だったから、
彼の悲願を打ち砕く事が出来なかったのだ。

弟の身体に、諦めはしたが自分の手足。
彼が追い求めていたものは、それらだったが、彼が諦めたものはそれらではない。
彼が心底欲し、その上捨て去ったもの・・・それは、平凡な小さな家族愛だ。
彼が達した偉業から比べれば、極々小さな細かな、そして自分の身よりも
愛惜しんでいたもの・・・。
それを手にしようとしている今、彼の願いがどれ程悲痛で、強かったかを知っているロイには、
自分がどれほど嫉妬で苛まれようとも、妬む心が胸を焼き尽くそうが・・・、
潰すことが出来なかった、真実相手を愛しすぎていたから・・・。

啼き叫ぶ感情を宥めるには、今この身体にのめり込む事でしか解消出来ない。
ロイは荒い息を吐き出しながら、見に燻る憤りを押さえ込んで、
エドワードを味わい尽くす事だけに集中する。

「全く君は・・・罪作りな存在だな」
彼は幼い頃、母親を作ろうとする大罪を犯した。
そして大人になって、今度はロイの中に潜む獣を殺すことになるのだ。
ロイの愛撫に、身を捻りながら喘いでいる痴態に向ける視線は、
欲望と情愛に染められながらも、酷く儚く哀し気な色を一瞬だけ映しては消え去った。
後に残るのは、卑しく物欲し気な一途な彩だけだった。

ロイは口付けを施しながら下ろした頭を起こして、目の前で震えている彼の分身を
犯すような視線でねめつける。
彼の綺麗な頭髪同様、豪奢な色の薄繁えから勃ちあがるものを見つめ続ける。
さすが彼の分身だけあって、綺麗なものだ。
さして性的に使われる事がないと、ここまで淡いものなのだろうか?
しげしげと眺めていると、焦れたエドワードがむずがるように腰を揺らしてくる。
「な・・ぁ・・・はや・・く」
その声に、ロイは深まる充足感の余韻を味わう。
これが薬が言わせている言葉だとしても、エドワードから自分への強請り声だと思えば、
後はもう、どうでも良い気さえしてくるくらいだ。
ロイは、エドワードからの誘いの言葉に、仕草に、喉が鳴るのを止められない。
「・・・君は、急っかちだな・・・。 少しくらい、喜びを味わう時間をくれてもいいだろうに・・」
欲情に掠れた声は、セリフとは逆にロイの興奮を顕して濡れている。
誘いに応じて直ぐにでもむしゃぶりつきたい処を、グッと我慢して視姦する。
人差し指でそそり立つ周囲を刺激するように回せば、期待に満ちた声が上がる。
「ああっーあ・・んぅ」
それと同時に腰が揺らされ、トクリと蜜が零れ落ちる。
そして、次を強請るようにはしたなくも揺らされる腰・・・。
見ているだけでも逝けそうだ。
ロイは膨れ上がる要求を躱すように、ペロリと唇を嘗めて渇きを癒す。
そして、ゆっくりと辿る指をつつっーと立ちあがるモノに沿わして上げて行く。

「ヒッ! アアー ヤ・・ァ・・」

直接の刺激を漸く得れたエドワードが、激しく髪を振り乱す。
もっともっとと言う風に突き出される腰に、ロイの忍耐も限界もあっと言う間に越えていく。
「エドワード!」
沿っていた指できつく握り締めると、エドワードから歓喜の悲鳴が迸る。
「アアーッ!!」
そして、ドクドクと溢れる蜜を、さも勿体無いとばかりにロイは口内に含んでは
吸い上げていく。
舌で巻きつけ強めに吸い上げると、湧き水のように滾々と溢れる蜜は
今まで飲んだどの美酒よりもロイを酔わせる。
ロイは先ほどまでの余裕が消し飛んだように、夢中になってしゃぶり上げる。
舌で巻き絞り、片方の手で蜜袋を揉みしだき、残る1滴まで飲み干そうと吸い上げてやる。
空いてる手の平で、形の良い臀部を握り込めば、エドワードが体全体で
喜びを表してみせる。
「アン・・アアン・・やぁ・・出る・・・もう・クゥ」
跳ね上がる腰を押さえつけ、下腹部で蠢く黒い頭は、動きの激しさの分、
与えていく快感が強くなっていくようだった。
そして、限界まで後一呼吸もない状態まで追い上げてから、ロイは先端を齧って最後の
後押しを仕上げてやる。
「ヒィー・・・・・!!」
息を吸い込むような悲鳴を長く上げながら、エドワードが達して行く。
断続的に吸い上げてやると、ビクビクと反応を返して腰を反らす。
達した直後の虚脱感から、エドワードが荒い息に胸を上下させている間も、
エドワードの下腹部からは、耳に淫やらしい水音が響き渡っている。
子供がキャンディーをしゃぶるように、ピチャペチャと・・・。
赤子が母の乳を吸うように、チュゥチュゥと・・・。
全てを吸い上げ終わって漸く、ロイは満足そうに吐息を付いて顔を上げる。
そこに張り付いている笑みは、凶悪なほど滾っる想いを伝えている。
濡れ濡れと輝る唇を、獣のようにベロリと嘗め上げ、
荒い息を付いているエドワードのしどけない様子に、子供のように嬉気に話しかける。

ゆっくりと上から覆いかぶさりながら、涙に曇る瞳を覗き込む。
「好かったかい? 私も美味かった・・・。
 あんなに素晴らしいものを飲ませられては、今後何を飲んだところで
 満足出来ないだろうな・・・」
陶然とした声を呟きながら、漸く息の整い始めたエドワードの口を塞ぐ。
薬の効力が効いているおかげで、一度達した後だと言うのに
口付けされているだけで、次をもよおすように示してくる。
出来れば何度でも追い上げて味わっていたいが、この時間には制限があるのだ。
・・・それに、先ほどのエドワードの達した情景に煽られ続けているロイの方も、
限界が近づいている。

クチュクチュと音を立てながら口付けを交わしながら、ロイはベットヘットに手を伸ばし、
用意していた物を取り出すと、最後に一度きつめに吸い上げてから、
名残惜しげに口付けを解く。
「もっ・・と・・・」不満そうに鼻を鳴らす仕草が、可愛くて仕方が無い。
そう、凶悪なまで可愛すぎるから・・・喰いついて取り込んでしまいたくなる・・程。
ロイは返事を返す代わりに、不満を鳴らした鼻を齧って応えてやる。
「ああ、私だって惜しいんだよ・・・。 が、楽しむならもっと先に進んでから
 いくらでも与えてあげよう、君ももっと欲しいだろ?」
耳朶に吹き込むように告げると、それだけの刺激でも感じるのか、
エドワードがコクコクと忙しなく頷いてくる。
そんな様子に、『やはりあそこで用意して間違いは無かったな』と満足する。
 
ロイが取り上げた物は、チューブ上のクリームだ。
少し多いかと思う位に指に絞り出し、指を擦り合わせて満遍なく広げていく。
何をされるかを理解しているとは思えないのだが、目を眇めてロイの指を見つめながら
ゆっくりと腰を蠢かす様子は、全てを知り尽くした娼婦のように、
ゆっくりと確実にロイを誘っていく。
「君は・・・全く・・・」
大事にしようと、丁寧に抱こうと思っていた気持ちが挫けていく。
もう無理だ! 耐え切れない! 今すぐ抱きたい、突き上げてやりたい。
その表情が苦悶に歪む様も、彼なら美しいことだろう。
そして、愉悦に輝く面は、何よりも淫らだろう。

ロイは気持ちを顕すかのように、エドワードをうつ伏せると、
クリームでべとつく指を性急に突き入れる。
「アッアアー!!」
いくら欲望で欲していたとしても、慣れない身体には厳しいだろう。
逃げを打つ腰を抱えるようにして、ロイが宥めていく。
「エドワード、少しだけ辛抱してくれ。
 この薬は麻酔効果もあるから、すぐに楽になる」
そう声をかけても、痛みから遠ざかろうとするかのように、
エドワードは付いた両手で這い上がろうと抗う。
「駄目だ!逃げるな!」
自分から離れようとするエドワードを感じた瞬間、抑えに抑えていた感情が
爆発する。
「何故、離れようとする!? どうして私の傍に来ないんだ!
 これだけ愛してきたと言うのに、お前は私から去るのか!
 お前を誰よりも理解してきた私から!」

怒声を上げ、両手を1つに掴み上げ、シーツに顔を埋めるように押さえつける。
そして、憤り立つ己を埋め込もうとして・・・。
「・・・クソッ!!」
そう呻くと、もがく身体を反転させて、ロイは華奢な身体を跨ぐように膝立つ。
そして、概に限界の際で堪えていたモノに手を添えて軽く扱けば、
あっと言う間に、勢いよく開放されたものが飛び出して、撒き散らされて落ちていく、
茫然と眺めていたエドワードの顔に、髪にも、首筋にも・・・。
ハァハァハァと荒い息をつきながら、ロイはクシャリと表情を歪め、
エドワードの上に身体を乗せる。
「酷い事を・・・傷つけたいわけじゃないんだ・・・。
 表に刻めない代わりに、君の中に入れてくれ、お願いだ」
哀願のように紡ぐ言葉の合間にも、ロイは自分の匂いを染み込ませるかのように
飛び散った液を擦り、塗り込めて行く。
そして、ゆっくりと慌てずにエドワードの秘部に薬を塗り込んでいく。
浅く、深く、ゆっくりと急に・・・。
その度に刺激が倍増していくらしいエドワードの狂態が激しくなる。
「どうだい? ここは好いか? こちらは感じるか?」
うつ伏せに腰を上げやすいように枕を重ねてやり、ロイは慎重に真剣に見つめながら
指を含ませていく。
額に浮かぶ汗が、頬を伝い、顎から零れ落ちていく。
ロイは出来るだけ丁寧に、エドワードが感じる場所を探り、
自分を受け入れやすいようにと、拡げていく。
1本目を飲み込み、2本目も飲み込んでいく。
慣れると共に、中での締め付けも緩急付いた穏かさを感じさせてくる。
3本目を飲み込ませた後、探るようにぐるりと回したのがヒットした。
途端に快感に蕩け始めていた体が、ロイを跳ね除ける強さで撥ね上がる。
「アアァー・・ッー!!」
長く続く声は、まるで雄叫びのようだ。
「ここか!?」
ロイは目尻に落ち込んでくる汗を拭って、見つけたポイントを執拗に押し上げる。
「まっ! だ、だめ・・・だぁー またぁ・・・」

伸ばした手でシーツを掻き毟るように暴れるエドワードの感じている快感は凄まじいのだろう。
何度か頭を振っては、啼き声を上げ続ける、そして・・・。
「逝け、何度でも。 時間が許す限り、何度でも与えてやる!」
前にも手を回して、張り詰めたものを促すように動かすと、呆気なくエドワードは陥落した。
「アッ・・・ンン・・・!!」
放たれたものが、クッション替わりの枕に吸い込まれていく。
ロイは無茶苦茶に揉みしだいて、全てを吐き出させる。
そして、立て続けの放出に力を奪われたエドワードの体が、ぐったりと弛緩する頃を見計らって、
漸く己の目的を達成させる準備に入る。

ロイは高揚し過ぎて振るえる手で、チューブから絞ったクリームを自身に塗りたくると、
汗とクリームやら体液やらで滑る両手の平で、エドワードのまろやかな臀部を掴み
左右に押し広げるように力を入れる。
その真ん中には、先ほどまでロイの指を3本も喰んでいたとは信じられないほどの
慎ましやかな口がひく付いている。
ロイはゆっくりと自分のモノを押し当てると、傷をつけないようにと気を配りながら、
慎重に進めていく。
先を押し込んだ途端、弛緩しまどろんでいた肢体がビクリと大きく撥ねる。
途端に抵抗が強くなるが、それを押し返すように突き入れると、
グズグズと抵抗しながらも、中へと招き入れていく。
「アゥ・・・クゥ・・・ハッハッ・・・」
獣じみた吐息が、くぐもりながらもロイの耳に飛び込んでくる。
「くっ・・・」
想像していたよりも強烈な締め付けに、ロイの息も詰まる。
勿論、衝撃に近い快感の為だ。
『後・・・少し・・・』
先端の張っている部分さえ埋めてしまえば、後は楽になる筈だ。
強引に押し込めば早いのだろうが、そうすれば必ずエドワードの中に傷を残す事になる。
自分は何一つ残してはいけないのだ・・・彼の幸せの為に・・・。

塗り込めた薬のおかげか、エドワードは苦しそうに喘いではいるが、
痛みはさほど感じていないようだ。
それに勇気付けられたように、ほんの少しだけ腰に力を入れてみる。
ズルリと聞こえそうな感覚と共に、中に入り込んだ事を感じた。
「アア・・・ンン・・・!」
「あぁ・・・」
嬌声と吐息。 どちらも同時に上げられる。
そして、全てを受け入れさせてしまえば、後はひたすら奪い尽くし、
与え尽くすだけだ。
「漸く手に入れた・・・」
全て覆いつくせるような華奢な身体を、背中越しに抱きしめて、
ロイは啼きたい位の幸福感に酔いしれる。
『全てをなんて望まない。 彼が不幸になるのを見たいわけじゃないんだ・・。
 ほんの一時の夢を・・・、明日には消え去る時を、せめて君の中に刻ませてくれ・・・』

その後は、唯ひたすらに打ち込んでいく。
与えられる快感に雄叫びを上げ、咽び泣くように声を上げる。
2匹の獣が、今生で最後の契りを交わす。
互いに上げる声さえも、粘着質に絡み付いていくように編み上げ、響き続ける。
狂宴の終幕は、白々と明ける空と共に下ろされていく。

最後には意識を飛ばしたエドワードが、死んだように横たわっている。
ロイは呆けたように横に座り込んでは、エドワードの寝顔を見つめていた。
そして、ノロノロと動きたがらない身体を叱咤して、エドワードを湯船に浸けると、
情交の後を綺麗に洗い流していく。
その行動が意に沿わないと示すように、洗う手も吹き上げる手も、動きは酷く緩慢だ。
「残したままに出来れば・・・な」
湯と共に流されていくのは汚れだけではない。
彼の表層には何も残せないロイの残骸も、ボロボロに剥がれては捨て去られていくのだ。
それでも時間は迫ってくる。 彼が次に目覚める前に、全てを昨夜の通りに繕わねばならない。
ロイは丁寧に水気を拭き取った髪の一房に、最後の別れの口付けを落とすと。
静かに幕を下ろしたのだった。



それから数時間後。

「う・・・ん・・」

日差しが眩しい・・・閉じていながらも、そう感じるという事は
随分、日が高いのだろう。
エドワードは、だるい身体と節々に痛みを訴える体の所為で、
意識が押し上げられるのを感じていく。

「な・・んだ?」

妙に目がショボショボとする。 喉も痛く、掠れているようだ。
それに、異常な位に体中が軋んで痛みの悲鳴を上げている。
自分の体の異変を確認しようと、身体を起こそうとして、込上げる悲鳴を飲み込んで耐える。
「いっ・・・たぁー」
涙まで浮かべて、元の位置に逆戻りしたエドワードが、
自分が寝ていた場所が、ソファーなのに気づく。
「なん・・で?」
今まで寝込んでしまった時も、恥ずかしながらロイが客間まで運んでくれていた。
なのに、何故今日はこんな処で寝ているのだろう?
痛む頭と身体に強いながら、周囲を探ると、何となくその答えが見つかった。
要するに、ロイもリビングで寝込んでいたのだ。

『そんなに飲んだろうか?』
エドワードは何とか起こした体で、記憶を探る。
二人は酒には強いタチだ。 だから、多少大酒を飲んだとしても
記憶を失うほど酔いつぶれるなど、今まで一度足りも無かった事だ。
痛む頭と、節々に負けた様に、寝ていたソファーに転がると、
漸く物音でロイが起きだしてきた。

「鋼の? ・・・起きたのか?」
フアーと伸びをしながら、起き上がり座り込んだ相手も、
ヨレヨレのシャツに、ボザボサの髪の毛と、余り見られたものではない状態だ。
「中将・・・目が覚めたのか?」
掠れた声で尋ねると、気配が近づいてくる。
「どうした? 風邪でも引いたのか? 声が変だぞ?」

「か・・・ぜ?」
「ああ、君昨日はやたらと暴れては、ソファーから何度も落ちるは、
 折角かけてやって毛布を蹴飛ばすわで・・・。
 寝るときくらいは、もう少し静かに出来ないものかね」
からかいを含んだ言葉に、エドワードが言い返そうとするが、
絡んだ喉が、上手く声を発せれない。
「ほら・・・」と差し出された水と・・・錠剤?
訝しげに視線を送れば、
「二日酔いに風邪の引き始めなのだろ?
 痛み止めと解熱剤になってるんで、飲んでおくといい」
いらないと言いたかったが、確かに頭も痛いし、それ以上に体が痛みを訴えている。
水まで差し出されれば、飲まないわけにもいかないだろう。
なにせ、国軍中将様直々のご配慮だ。
「ん・・・わかった」
渋々ではあるが、薬を受け取って飲み終わると。
酷く優しげな声が降ってくる。
「どうせ二人とも休みを取ってるんだ。 もう少しこのまま休んでるといい」
そう言いながら、瞼を塞ぐようにして、後ろへと倒される。
突然の相手の行動に戸惑いは大きかったが、確かに今の状態では様子を見る方が良いだろう。
それに、酷く温かい手の平が、大きな安心感を伝えてくれる気持ちよさ・・・。
エドワードはぼんやりと薄くなる意識の中で、その心地よさを味わっていた。

ロイが瞼を塞いで暫く立つと、スースーと規則正しい寝息が聞こえてくる。
無理も無い・・・、昨夜の情交は激しすぎたから、いくら頑健な彼でも
堪えている筈だ。
ロイが渡した薬は、痛み止めが含まれてはいるが、解熱剤ではなく
睡眠剤が含まれている。 彼は、この後半日は起きないだろう。
その頃になれば、丈夫な鋼のの事だ、多少の不調以外は大丈夫になっている筈だ。
ロイは静かに抱き上げながら、ゆっくりと休ませる為に、客間へと運んでいく。
そして次に起きたときには、全ての違和感も綺麗に捨て置かれる程度になるだろう。

そして、彼の記憶には欠片も残らない・・・。
が、自分はどうなのだろう・・・?
1度だけでもと、卑怯な手段で儚い時を得た。そして、忘れられるのか・・・?
・・・諦める・・・事など、本当に出来るのだろうか・・・。
あの強烈なまでの快感を得、至福の喜びに満たされる術を知って、尚、
本当に自分の中から消え去る時が来るのだろうか・・・?
それは、ロイには途方も無い先の事にしか思えない。
そう、見えないような先の、信じられないくらい遥かな時が流れても・・・、
それでも、忘れることなど・・・出来そうに無い。

1つを得ることで、永遠に続く苦難を背負う。
例えそれが、最初から判っていたとしても、ロイはエドワードを
抱かずにはおれなかっただろう。



「おめでとー!」
盛大な声に、次々と祝福の声が続いていく。
中央では、ままごとのように可愛い恋人同士が微笑んでいる。
手も繋ぐ事も出来ないようでは、腰に手を回して仲良ささをアピールするなど
とても出来そうに無いだろう。
ニコニコと、それでも幸せそうに横で微笑んでいる女性は、そう言う意味では
エドワードにお似合いの恋人だ。

からかいや、芝居のかかったやっかみや妬みの声に、
エドワードは困ったような表情をしながらも、笑みを止める事はない。
ロイは人の輪から離れた場所で、残酷な仕打ちで辛い役を振り分けてくれた相手を眺めている。
にこりと張り付かれた微笑は、崩しもせずに。そう、全く微動もしないほど・・・。

もみくちゃにされながらも、何とかロイの傍まで辿り着いたエドワードが、
照れたように笑いかけてくる。

「おめでとう、君の未来に祝福を」
これだけは心からだと言える言葉を告げると、エドワードは瞳を僅かに揺らしながら、
「ありがとうな・・・、あんたの未来にも」と横にあったテーブルから
杯を2つ取り上げて、差し出してくる。

「ああ、ありがとう。 私は十分に幸せを得たから、
 残りは全て、君に回してやろう」

そうしらっと告げてやれば、エドワードは肩を竦めて返してくる。

互いに向かい合い杯を持ち上げると。
「あんたの夢が叶う事を願って」
「ああ・・・、私の願いの成就を祝って」

合わされたグラスからは、哀しいまで透明な美しい音が鳴り響く。
『まるで消え去る時の音のようだ・・・』そんな事を思いながら、
エドワードの肩を抱いて、待ちわびている婚約者の前に連れて行く。

『そう例えこの先に自分の不幸と不運しかないとしても、
 それでもなけなしの運を掻き集めてでも、君に幸せを贈ろう。
 いつまでも、君が微笑んでいられるように・・・』






「勿忘草」と名前を付けられた薬は、時を操り消し去ってしまう。
 なのに、花言葉は「忘れないで」だと言うのは、皮肉なのだろうか?
 ブラックユーモアなのだろうか?
 ロイが奥深く仕舞い込んだ小箱には、後4本の小瓶が、沈黙を守り並んでいる。
 ロイが二度と開けないと誓った封印に閉じ込められたまま・・・。



(あとがき)
忘却の時 2・・・エロしかなかったような・・・。
スビバセン・・・お馬鹿すぎる私を許して下さい!m(__)m


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